画期的なラボのコンセプトから現場で使用可能なプロトタイプを構築
米国陸軍

 

背景

米国陸軍は、アンスラックス(炭疽菌)や、その他、液体の中に存在する致死的病原体を検出する方法を必要としていたため、高感度の検出技術を開発しました。この新技術は研究室の中では成功しましたが、河川の水といった現実世界のサンプルではうまくいきませんでした。なぜなら、問題となる粒子の分散率が、検出できる最低限のレベル以下だったからです。米国政府が定める水の安全基準を満たすためには、濃縮係数が100万の水、最低1000リットルからサンプルを採取しなければなりません。米国政府は、有機物を取り除くことにより、サンプルの濃縮係数を1万まで下げることができましたが、さらに100倍以上濃縮する必要がありました。

ソリューション

米国政府は、達成した濃縮係数(1万)を政府の定める安全基準を満たすのに必要な濃縮係数(100万)に近づけ、しかも持ち運び可能な病原体濃縮装置を開発するというPARCのプロジェクトに資金を提供することを決めました。PARCは、抽象的な物理概念をもとに現実の世界で利用可能な工業アプリケーションを作り出すことにおいて経験が豊富で、しかも、ゼロックス社のプリンタ用トナー粒子の制御と輸送に関して長年にわたり研究してきたため、粒子の操作、マイクロ流体工学、そしてMEMSに関する専門知識はすでに持っていました。

過程

このプロジェクトは次の3段階から構成されており、通常よりも早いスピードで進められました。

フィージビリティ(実現可能性):進行波チップと輸送メカニズムのデザイン、接触面に付着してしまうことで粒子が失われるのを防ぐための防汚技術の開発、そして概念実証

拡張性:単体チップからアレイへの拡張とシステムへの融合

プロトタイプ作製と製造:ボタンひとつで操作できるユーザインターフェース、システムの拡張、およびパッケージングなどを含めた、フィールドテスト用のデバイスの構築と組み立て

成果

米国陸軍は、現場で使用可能なプロトタイプを最終的に手に入れました。PARCは、病原体濃縮キット一式のデザイン・製造・組み立て・テストを手がけ、そのキットには、ハードウェア、ソフトウェア、電子機器、オペレータインターフェース、そして携帯用の耐水ハードケースが含まれていました。

PARCの病原体濃縮技術を用いることにより、米政府は、(現存する最先端の粒子検出技術をもとに)脅威レベルと言われている1~10ミクロンの水溶性粒子を検出するために必要とされた、濃縮係数を100倍向上するという目的を達成することができました。PARCの携帯型・低電力・小型病原体濃縮技術は、現場での使用に適しており、高感度で、しかも検出限界(LOD)を超えたサンプルを可能にしました。そのため、誤った陽性判定が少なくなりました。

 

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クライアントプロファイル

米国陸軍

本部:ワシントンD.C.

売上高:該当なし - 政府機関

従業員数:該当なし