お互いのリスク削減と専門知識の補完を目指した連携
Power Assure

 

背景

Power Assure, Inc.は、CIO(最高情報責任者)やIT責任者、施設管理責任者などが一つのデータセンター内、あるいは複数のデータセンター間において、容量、サービスレベル、消費電力などを最適化できるよう、可視性と自動化を可能にするSaaS(サービスとしてのソフトウェア)ソリューションを提供しています。同社はすでに大企業、官公庁、管理サービスプロバイダを顧客として持っていましたが、これらの顧客の「仮想化」のニーズに対応するために、製品群の拡大を希望していました。仮想化を行えば、データセンター内で柔軟な対応が可能となるばかりでなく、Power Assureがクラウドコンピューティングの潜在的な機会を捕らえる(例えば、複数のデータセンター間で柔軟な対応を可能にする)のにも役立ちます。

ソリューション

Power Assureの「ダイナミック・オプティマイゼーション(dynamic optimization)」SaaSソリューションは、電力コストを固定費から可変費に変えることで、顧客の実際の需要に応じて電力の使用量が変動するようにし、データセンターのエネルギーコストを削減しました。同社の製品ロードマップには仮想化への対応が組み込まれていましたが、2年前にベンチャーキャピタルから資金を調達して設立された同社には、大幅なエネルギー節約と顧客へのより良いQoS(サービスの質)の双方をバランスよく実現するためのR&Dリソースがありませんでした。

PARCのエネルギー管理におけるコンセプトで、イノベーションでもある「適応型エネルギー(Adaptive Energy)」プラットフォームを利用すると、Power Assureの仮想化ロードマップに自然に適合するばかりでなく、上述の複雑なバランスにも対応することができます。「適応型エネルギー」アプローチは、制御、最適化、モデル化をベースにした設計におけるPARCの優れた能力に基づいています。その多くは、ゼロックス社の複雑な商業印刷システムの信頼性と適応性を最適化するために開発されたものですが、それが後に、運輸、工場のオートメーション、航空宇宙といった様々な業界の顧客に適用されました。このアプローチは、ハードウェア・物理的システムにソフトウェア、とりわけ人工知能的推論を組み込んでいるため、多くの分野にわたる専門知識が必要とされます。

過程

この種の多面的な専門知識を有する人材は新興企業では採用が難しく、また、どこかから探してくることも困難だと考えたPower Assureは、研究をPARCに任せることにしました。一方、この分野におけるPower Assureのソフトウェア実装と市場での豊富な経験が、「適応型エネルギー」アプローチによく適合することを認識したPARCは、データセンターアプリケーションの商品化パートナーとして、Power Assureに協力することを決めました。

「両社が非常に円滑に協力し合って、エネルギー省の提案書を策定しただけではなく、両社の長期的な利益に沿ったパートナー契約を締結できたことに、我々は満足しています。」Power Assure CEO(最高経営責任者) Brad Wurtz氏

共通のベンチャーキャピタルネットワークの取り持ちにより設定されたミーティングでお互いの関心が一致したことを確認した両社は、米エネルギー省(DOE)の2009年米国復興再投資法(ARRA)に基づく助成金を獲得するため連携することを決めました。この助成金を取得できれば、製品開発活動を強化して、技術の商品化を押し進めることができます。両社は、相互にリスクを軽減しながら長期的な利益に沿った、柔軟で双方の事情に合った協定(ライセンス供与オプションや継続的な連携など)を構築しました。

結果

Power AssureとPARCのソリューションは、データセンターを「常時稼働」から「必要に応じた稼働」に移行します。この考えは、顧客の需要を満たすのに必要な分だけデータセンターがコストを負担するという目的から来ています。

仮想化ソフトウェアを基盤となるハードウェアリソースから切り離すことにより、PARCとPower Assureにより開発された技術では、下記のことが可能になります。

  • 需要対応プログラム、あるいはサービス停止や光熱費低減時を利用して、データセンターの計算リソースを他の場所に移すことができる。
  • QoSの要件に基づいてリソースの割り当てに優先順位を付けることで、確実にサービスレベル契約(SLA)を遵守することができる。

さらには、データセンターのエネルギー効率に関しては、ハードウエア中心(たとえば、HVACや小型機器)からソフトウエア中心(つまり、仮想化して処理を少数のサーバに集中化)に移行するという進歩もありました。しかし、こうした進歩は、現在利用可能なサーバの技術に制限されていたため、業界では、データセンターにおいて消費されるエネルギーのせいぜい半分しか取り戻せませんでした。PARCの「適応型エネルギー」アプローチを採用すれば、モデル化をベースとする制御と最適化を用いてリソースのニーズに合わせたエネルギー使用の制御が可能となるため、データセンターの効率向上を次のレベルに高める(ソフトウエアでハードウエアを制御する)上で役に立ちます。つまり、QoSに影響を及ぼすことなく、データセンターにおける全体の消費電力をさらに著しく削減することが可能となります。Power Assureは、提供するSaaS製品群を拡大することで、これらのオプションを顧客に提供することができるのです。

両社は、協力することで相互のリスクを削減するばかりでなく、お互いの長所を補完することができました。Power Assureは、製品群を拡大しながら、PARCに研究をサポートしてもらうことができ、さらには、この分野で使用される最適化アルゴリズムの知的財産権をPARCが多く保有していたおかげで、Power Assureは自社製品の知的財産権における地位を強化することもできたのです。

両社が連携したおかげで、Power AssureとPARCはARRAのプロジェクト助成金を受ける14社の中に選ばれました。その結果、500万ドルの追加資金が得られ、両社は既存の投資を強化することができました。現在、両社はデータセンターにおけるエネルギー管理を変えようと、協同で作業を進めています。

 

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クライアントプロファイル

Power Assure

本社:カリフォルニア州サンタクララ市

売上高:データなし

従業員数:50名以下